120816 雄国沼・猫魔ヶ岳
夏休みからだいぶ経ってしまったが、PowderSearchの更新作業も一段落したので続けたいと思う。
さて、この日は今回の裏磐梯のハイライトになった一日だった。山の大きさや展望から言えば磐梯山に軍配が上がるが、ピストンでなく変化に富んでしかも静かな山行だったことが大きい。
ルートは『雄国沼せせらぎ探勝路』と『猫魔ヶ岳やまびこ探勝路』をつなげたもので、雄子沢登山口から八方台登山口(初日の磐梯山の登山口)に抜ける。距離はおよそ9キロ。八方台にはバスが通っていないのであらかじめ自転車をデポしておき、車を取りに行くことにした。
雄子沢の駐車場(簡易トイレあり)に車を停め、道路を渡ったところに登山口がある。
これから行くルートは新奥の細道と命名されていた。
最初は沢沿いの快適な遊歩道となっている。沢沿いと言っても陰鬱な谷間を歩くわけではなく、比較的乾いた明るい森の中だ。道幅も広くて起伏も少なく、次男も自力で歩ける道だ。猛暑が予想されていただけに、木陰なのがうれしい。
樹種はブナが多いようだが、純林になっているわけではなく、森の表情も変化に富んでいる。
遊歩道から一段下がった場所に目を引くブナの巨木があった。道中これ以外の巨木を見かけなかったので、おそらくガイドブックにあった『ブナ太郎』だろう。筋肉のように盛り上がった樹皮が力強い。葉のつきもよく、生命力が衰えているようなことはなさそうでよかった。
足元で何か動いたと思ったらカエルだった。見た目は小さなヒキガエル。やけに色黒だ。
雄国沼まで1キロを切ったあたりから、ブナの純林になっていく。道は相変わらずなだらか。こんなにいい道なのに歩く人はあまりいない。やはり最盛期は雄国沼にニッコウキスゲが咲く6月から7月にかけてなのだろう。
なかなか標高を上げない道に、いつこのツケが回ってくるかと心配だったが、しばらくして空が開けてきた。
そして灌木帯を飛び出すとドドーンと大きな雄国沼休憩舎に到着した。それにしても立派な造り。避難小屋としても機能しているらしいが、中が広すぎてむしろ落ち着かないぐらいだ。ここで大休止。ようやく行程の半分だ。
ここから先は雄国沼湖畔を歩き、猫魔ヶ岳のなだらかな斜面に取りつく。地図上では何てことない道に思えたが、連日の外遊びで疲れていたこともあり、予想以上に長い道のりだった。
雄国沼越しに猫魔ヶ岳方面を望む。真ん中にあるのが猫石のある1335ピーク。そこから一旦下って猫魔ヶ岳に至る。
まずは雄国沼の水際まで行ってみる。明るく開放的な山上湖だ。地形図から見てもわかるように所謂カルデラ湖で、およそ100万年前~40万年前に活動した猫魔火山の火口だった場所だ。湖畔には草原地帯があり、こんなところでテント泊できたら幸せだろうなぁとつくづく思った。
堤防を歩く。雄国沼は自然湖だが、江戸時代に大塩平左衛門という人が灌漑工事をおこない、現在の喜多方市にある稲田に水を引いたらしい(雄国新田と呼ばれている)。その灌漑工事で雄国沼の面積は倍になったというから、この堤防もその当時から築かれていたものだろう。
この資料を見ると、ちょうど百閒土手というのが相当するようだ。土手の終端には雄子沢に流れ出る排水口がある。そこを越えると再び森の中へ入っていく。
小川の蛇行する姿に魅かれる。
途中でチッチゼミを捕まえた。関東の平地では見かけない山のセミだ。小学生の頃の自由研究で昆虫採集をした時以来の対面。どうやら飛ぶのが不得意らしく、素手で簡単に捕まえることができた。
猫石に向けて山腹をトラバース気味に歩く。地図に現れない小さな沢を越していくため、意外とアップダウンがある。今日はこれまで雄国沼以外は展望が無い道を歩いてきたので、早く猫石からの大展望を見たい気持ちもあり、この道は少し長く感じた。
猫石の直前までじらされた後、ようやく開けた雄国沼の展望はすばらしかった。パノラマ撮影機能がほしい...。
猫石に登ってみる。
雄国山方面。
猪苗代湖。
猫魔ヶ岳と磐梯山。
クライムオン!
カルデラの全景を眺めるなら、この先の猫魔ヶ岳よりも猫石のほうがふさわしい。しかし、岩と登山道以外に休むスペースが無く、子供連れ5人で休むには向かない場所だ。正直ここから一旦下って猫魔ヶ岳まで行くのは気が重かったが、他に選択肢はなかった。先着していたハイカーの、『猫魔ヶ岳は360度の展望らしいですよ』との言葉に励まされ、先に進む。
ううむ、近いのか?猫魔ヶ岳。
標高差は100m足らずだが、暑さと荷の重さにやられて足取りは重い。後から考えると、猫魔ヶ岳は全行程の3/4に位置していて、いつものお昼休憩が行程の半分(ピストンで目的地)というのと比べて長かったので、余計に遠く感じたのだろう。
しかし、頂上からの景色でその苦労も吹き飛んだ。猫魔ヶ岳は東西に細長い山頂になっていて、西の端に三角点がある。展望は東側にある山頂標識のある広場のほうがよい。
猫魔スキー場と桧原湖
猪苗代湖と金床雲
青々とした磐梯山と美しいスカイライン
会津若松市街方面
会津若松と猪苗代湖を隔てる丘陵地帯。今回の山旅で初めて知ったのだが、猪苗代湖は数万年前に磐梯山から噴出した火砕流によって河川がせき止められて形成されたらしい。比較的開けた盆地にある湖なので、成因が火山によるものだとは想像したことはなかった。
ああ、重かった。特に水物が重い。子供3人分の水分も持たねばならない。山頂ではミルクとラーメンとコーヒーのために湯を沸かす。エスビット+カルデラコーンの取り扱いにも慣れた。夏ならミリタリータブ1つで600~700ccのお湯が沸かせる。燃えカスがなべ底につくこと以外に今のことろ不満は無い。
やけに人懐こいキベリタテハがやってきた。汗でも吸っているのだろうか?
誰も来ない静かな山頂で昼食をとり、1時間ほど過ごした。
帰路はおだやかな下りを2キロ歩けばよいので気が楽だ。頂上直下の急な下り以外は次男も歩く。
やがてブナ林へ突入していく。登山道は広く刈払いされていた。
所々、アルツ磐梯スキー場と接続するようになってきた。
ブナの巨木に西日があたって美しい。登山口に近いほうがブナ林としては立派だった。ここまで来ると駐車場からの観光客もちらほら見かけるようになる。
ゴール。全行程で8時間かかった。次男(2歳)を歩かせること、夫婦それぞれ子供を背負うこと、お昼休憩を考慮するとコースタイムの2~2.5倍を見ておくのがよさそうだ。今日は朝早く出るつもりが9時近くになってしまった。よって到着は17時近く。途中のアクシデントを考慮すると、もっと早出するべきだった。子連れは朝は何かと忙しいが...。
八方台登山口の東屋に家族を待たせて車を取りに行く。国道459号線までの磐梯山ゴールドラインの下りは快適なダウンヒル。国道に出てからの峠道(昨日のツーリングで反対側から越えた)はそれほど苦にならず、むしろよいクールダウンになった。
やはり山道はピストンで戻るより他へ抜けるほうが楽しい。
最後にトラックデータ。
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